神田の唄

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「ちきりんの日記」騒動がフェアじゃないので言及する

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ちきりんの日記への言及のされ方はフェアではない

社会派ブロガーとして多方面で活躍されている「ちきりん」氏が運営しているブログについて次のような言及がなされていた。

 

anond.hatelabo.jp

そういえば最近、ちきりん(伊賀泰代)のブログを読んでないなと、ふと気付いた。
Googelトレンドでちきりんを検索すると、
https://www.google.co.jp/trends/explore#q=%22%E3%81%A1%E3%81%8D%E3%82%8A%E3%82%93%22
こんな感じで、注目度が2011年11月をピークに下る一方だ。
はてぶのホッテントリでちきりんの日記を目にすることも減った気がする。
もう賞味期限切れなのかな。


記事の冒頭では2011年11月をピークにトレンドの数値が下降していることに触れている。

あ、そういえば思い出したけど、ちきりんの日記って、コメント欄だけじゃなくてブコメすら途中から非表示にしたんだよね。Twitterでも、ちょっとでもちきりんに批判的なコメントをしたユーザは即座にブロックしてるらしい。
グローバルとかオープンとかそういうのを煽ってる割に、ちきりん自身はとても閉鎖的に振舞っているように思える。
べつに閉鎖的でもなんでも勝手にすりゃいいと思うけど、情弱の信者を囲うだけになってしまったら、イケハヤさんみたいなのと差がなくなってくるよなぁ。


末尾では「ちきりんの日記」がコメント欄、ブコメ欄を削除したことにより閉鎖的になっているのではないかという苦言を堤する内容になっている。

冒頭から末尾までの中間では筆者自身がちきりん氏について思うことを述べており、この部分については個人の主義主張の範囲であるので触れることはしない。

中間部分については、それぞれで確認して欲しい。

ぼくはこの記事をはてなブックマークが3にすぎなかったときに一度みていた。

その時は「そんな考えもあるかな」と思ってスルーした。

ただ、ブクマが500を超えている現在では、その時と状況が違う。言及した記事のはてなブックマークコメントでは「ブクマコメント欄の非表示」や「ブログコメントの削除」に対しての批判であふれていた。

正直いって今回の「ちきりんの日記」が衰退したとする人たちの意見の仕方はフェアではない。

ぼく自身はちきりんの日記の愛読者だし書籍も5冊は買って読むくらいに好きです。

日頃からちきりん氏のブログや書籍をみているからわかるのだが、コメント欄を削除した理由や、ブックマークコメントを非表示にした理由はブクマに溢れているような

・ネガティブなコメントを見たくないから削除した
・自分に不都合な意見をシャットアウトしたいから

といった理由ではないのだ。

書籍や過去記事の内容を元にどのような考えでコメント欄の削除、非表示をするにいたったのかについて言及する次第です。

 

 

 

 

はてなブックマークの重要性はちきりん氏が1番理解している

「ちきりんの日記」を人気ブログに押し上げたのは、はてなブックマークの力による所が大きい。

「ちきりんの日記」が転換期をむかえたのは2008年。最初にブレイクした記事は2007末に書いた伊勢神宮の式年遷宮に関するエントリ。

その次にブレイクしたのは同2008年。「朝まで生テレビ!」で議論されたトピックについて書いたエントリ。伊勢神宮の時の記事と同様に批判コメントと共にアクセスが急増したことを氏は書籍のなかで語っている。

それまでは特定の読者層に読まれていた「ちきりんの日記」は2008年を過ぎてから、たびたび数百のブックマークがつくようになった。そして一躍人気ブログとして躍り出た。

個人ブログがブレイクするには検索エンジンからの流入だけでは不十分でソーシャルネットワークである強力な口コミサービスの後押しが必要不可欠です。

当時最も力を持っていた口コミサービスがはてなブックマークであり、はてなブックマークは「ちきりんの日記」を人気ブログにするためのメインエンジンとなっていたわけ。

そして口コミサービスとして力を持ったもう1つのソーシャルサービスであるTwitterからの後押しも得ることに成功した。

はてなブックマーク。Twitter。この2つの強力な口コミサービスの恩恵を当時最大に受けたのが「ちきりんの日記」なわけです。

恩恵の大きさは当事者であるちきりん氏が1番理解している所であり2014年に刊行された「自分メディアはこう作る!」では次のように言われている。

散々ネガティブなコメントも付けられましたが、このサービス(ブクマ,Twitter)なしに今の"ちきりん"は存在していません。その意味では、せっせとブックマークを付けてくださった方々には心から感謝しています。

 
この発言からわかるようにネガティブなコメントや批判的なコメントを言われるのが嫌だからコメント欄を削除したわけではないのがわかる。

では、どのようにしてコメント欄を削除するに到ったのでしょうか。

 

 

 

 

ちきりん氏がブログのコメント欄を削除した本当の理由

ちきりん氏がブログのコメント欄を閉鎖したのは2010年9月のことです。

閉鎖した理由としてはブログへのアクセス数が急増したことにより、読者と書き手のコミュニケーションが健全にとることができなくなったから。


冒頭で紹介した記事のブックマークコメントや他のブロガーがはてなブログで言及している内容ではちきりん氏がコメント欄を閉じた理由は批判的な内容が増えたからだとしている。

けど、本当の理由はそこではないんですよ。

ちきりん氏は書籍のなかでコメント欄を閉鎖した理由を次のように述べています。

「自分のブログのアクセス数を利用されることを避けるため。」もしくは「自分のサイトという場所ときちんと管理するため」と言った方が適切です。

 
大量のアクセスが集まるサイトではコメント欄で自分のサイトや主義主張をPRする場として利用する人が出てくる。これは大量のアクセスを稼いでいるサイトだと必ずといっていいほど発生する現象です。

「ちきりんの日記にコメントを書き込めば多くの人に見てもらえる」

こういった考えをもつ人がコメント欄を利用するようになったのです。なかには18禁サイトや多数のポップアップ画面が現れる迷惑サイトへのリンクを張る人もいたようで、こういった行為をされることはブログの質を落とす要素にしかならない。

「あの人のアクセス数を、自分の政治宣伝やビジネス、自己顕示のように利用したい」と考える人が、わんさか集まってきます。自分のブログのアクセス数をそんなことに利用されるのは、私にとって許容し難いことでした。

 
ちきりん氏がブログのコメント欄を閉鎖した理由としてはブログの質を保つためにほかならないわけで、決して批判的なコメントを視界から消したいわけではなかったのです。

 
コメント欄が荒れることにより、嫌悪感を示すのはサイトの管理者だと考えがちですが一読者としてサイトに訪れた人間も例外ではない。

特に「ちきりんの日記」のファンでありサイレントユーザーとして積極的にコメントする層ではないユーザーのなかにもコメント欄が荒れることにより嫌悪感を示す人間がいたとしても何ら不思議ではない。

 
はてなブログ上でもたびたび人気ブロガー同士での批判合戦が行われているが、どの場合でも必ず不快感を感じるというコメントを残す人がいる。

それを避けたかったわけです。

 

 

 

 

ちきりん氏がはてなブックマークのコメント欄を非表示した本当の理由

はてなブックマークのコメント欄を非表示したことにより、はてなブログでは非難の声があがっているが、この理由もブログのコメント欄を削除したのと同じくサイトの質を保つための措置にほかならない。

冒頭で紹介した記事のブックマークコメントをみるとわかるのだが、ブックマークコメントを非表示したことに対して非難している人の多くが「批判する場をなくした」ことに対して怒りの発言をしている。

・雪合戦する場がなくなった
・プロレスをみるのが楽しみだった
・はてなブックマークのコメントを見るのが楽しみだった

こういった発言をしている人が多いが、この批判をしている人の多くは「ちきりんの日記」よりもブックマークコメント上で論争したい、あるいは論争が起きている様がみたい人たちです。

いわば火事場をみたい人の心理と同じで、ちきりんの日記そのものが好きな人間ではなく燃えている現場を見るのが好きな人たちです。

だから「ちきりんの日記」ではてなブックマークのコメントを非表示にした途端、そういった論争を楽しみたい人たちは離れていった。

火事場のファンが離れたことは氏にとって望ましいことだったのだが、それによりブックマークがつく回数が減り話題にあがる回数が少なくなったので影響力が薄れたのだと思われたわけ。

ただ、そうなってでもブックマークコメントの非表示を行う必要があると考えたのです。

ブログを読みにくる人には色々な層がいる。

・ブログのファン
・炎上している場がみたい人
・たまたま訪れた一見さん

こんな具合にね。

ここで重要なのは純粋に「ちきりんの日記」の内容が好きでサイトに訪れる人と論争が好きでちきりんの日記に訪れる人は交わる可能性は低いということ。

目的意識が訪れた段階で違うから当然といえば当然です。

ちきりん氏にとっては前者のファンの人間が快適に過ごせる空間を保つためにブックマークのコメント欄の非表示という選択肢をとらざるを得なかった。

ただ、はてなブックマークのコメントを非表示にするにあたり、メリットとデメリットがある。

デメリットは言わずもがな、アクセス数を増強させる要因を自らの手でつぶすこと。

はてなブックマークコメントの閉鎖についてもちきりん氏は書籍のなかで触れています。

「はてなブックマーク」のコメント一覧を非表示にするまでに、半年ほど逡巡の期間が必要でした。それは、このサービスこそが「Chikirinの日記」をここまでにしてくれたメインエンジンだということを、誰よりもよく理解していたからです。「はてなブックマーク」を切ることは、「貧しい時代から自分をさせてくれた配偶者に、一方的に離婚を申し出るようなものじゃない?」などど、ぐずぐず迷っていました。

 
はなてブックマークがアクセスアップに関して有用なシステムであることは他でもないちきりん氏が1番わかっていたということです。

「ブログ運営史上、最も難しい判断」だとちきりん氏は言われてます。半年間悩みぬいた故の行動なのです。

苦渋の決断だったといえるでしょう。


Twitterのブロックについての理由も同上です。さすがに誰をブロックしているのかまでは把握していません。

ただ、結局は全ての人に対応するには時間がかかるし、それが自分の知名度を利用しようと思って絡んできたのなら当然ブロックするわけです。

特にちきりん氏のように有名な人間なら様々なアカウントから絡まれます。絡まれかたにも様々あって、ちきりん氏の基準外にある絡み方をしてくる人たちはブロックするということです。

前述の通り、誰がどのような内容でブロックされたかまでは把握していないが、ぼくたちがオフラインで好きでもない人と絡むことがないのと同じことをTwitter上でやっているだけに過ぎない。

絡む自由があるならブロックする自由もあるということ。

 

 

 

 

ブログは単純にアクセスがアップすれば良いというものでもない

ここからは少し違う視点で考えていきたい。

まず前提としてなんだけど、ブログは単純にアクセス数がアップすれば良いものではないということを認識しておくべきです。

「ブックマークコメントを非表示にしたから話題にあがらないし、アクセス数も下がるんだ!」

と発言する人がいるが、アクセス数は必ずしも多ければよいわけではない。

googleアドセンスのようなクリック数に応じてお金がもらえるシステムを導入しているのであれば、単純にアクセス数が多ければ良いかもしれない。

だが「ちきりんの日記」をみてもらえればわかるのだが、特にgoogleアドセンスに力を入れているわけではない。むしろ適当。

単純にアクセスがアップすれば良いというのはgoogleアドセンスでお金を得ることが目的な人の意見であり、承認欲求を満たしたい人の意見に他ならない。ぼくもブログのアクセスが増えるにこしたことはないと思っている。

ただ、それは「ちきりんの日記」には即していない内容だったというだけ。

特に会社を退職して本格的にブログを収益化するために動き始めた2010年。この時期から個人ブログというよりもオウンドメディアとしての側面を強くする動きをみせていることがわかる。

その時分にはアクセス数よりも質を保つことに力を入れる必要があったわけです。

会社を退職したのでブログから収益を図ることにしたわけだけど、サイトの収益化を目指すうえで重要になるのはコンバージョン率です。アクセス数も大事だけど、コンバージョン率をみないと話にならない。

コンバージョン率とは自分の商品を実際に買ってくれたり、サービスを受けるためにお金を払ってくれるなど実際に行動に移す人の割合のことを指す。

1000アクセス集めて100円稼ぐのか、100人集めて100円稼ぐのかってこと。

1000人の烏合の集がついているブログと100人のファンがついているブログでは、後者の方が価値として高いのは論ずるまでもないことでしょう。

このネット時代においてはアクセス数もツイッターのフォロワーもお金を出せば増やすことができる。

でも、そうやって増やしたアクセス数やフォロワーに意味がないのはブログやツイッターを運用している人ならわかることです。

よくクローズドになったメディアやビジネスは衰退するといわれるが、この世の中にクローズドなサービスはいくらでもある。

「会員制」のビジネスが世の中からなくならないのは同じ価値観や、客層の人間を一ヵ所に集めることで質を保つ働きがあるからです。

「老若男女誰でも歓迎!」のようなオープンなサービスが世の中で受けるかというとそうではない。

結局オープンなのか、クローズドなのかはビジネスやサイトを運営するにあたり決定的な要員にはならないということです。

同じ価値観をもった人間が集まる場作ることで質を保つのが目的であり、ちきりん氏のブログ運営に対するポリシーは一貫しているのです。

ブログ運営の目的や方針にもよるけど、決してアクセス数だけ追えばよいわけではないのです。

 

 

 

 

2011年がちきりん氏のピークなのは本当か?

もう1つ言及したいこととして「ちきりんの日記」のピークは本当に2011年なのかということ。

冒頭の記事ではgoogleトレンドの結果によって2011年がピークだとしているが、トレンドの結果だけでピークはわかるものではない。

Google トレンドとデータ正規化のお話 | SEM Insight

 

詳しい話については上記のリンク先で確認して欲しいのだが、端的にいうと検索エンジンで「ちきりんの日記」と検索した人が多ければトレンドの数値は上昇するわけではないし、検索する人が少なければトレンドの数値が減少するわけではないのだ。

ここを勘違いすると錯覚を起こすのだが、トレンド=検索数ではないということは認識しておいてほしい。

 

 

 

 

ちきりんの日記は2011年がピークではない

トレンドと検索数が一致しているわけではない証拠に「ちきりんの日記」のアクセス数は2011年以降も右肩上がりになっている。


2009年:月間30万PV~60万PV
2010年:月間80万PV~120万PV
2011年:月間110万PV~170万PV
2012年:月間150万PV~170万PV
2013年:月間150万PV~220万PV

これは、ちきりん氏が書籍で明かしているブログへの月間アクセスの数値である。

みての通り2011年がアクセス数のピークではないことがわかる。このことからもトレンドの数値=検索結果ではないことがわかるだろう。

もう1つピークではない理由として、ちきりん氏にアプローチした企業の数をお伝えしたい。

ちきりん氏の初の書籍はイースト・プレスによる「ゆるく考えよう」である。この依頼を受けたのは2010年6月。

この依頼を皮切りに2014年8月までに執筆の依頼は43件受けることになっている。この数値にはTwitter上での依頼や、雑誌ネットサイトへの執筆依頼は含まれていない。

おそらく全部合わせると100以上の依頼はもらっていることだろう。

すべてをちきりん氏が公開しているわけではないので、あくまでも依頼を受けた43社のデータに合わせて話をするが2011年11月をすぎてから2014年8月までに23社からのオファーを受けてる。

確かに2011年11月には5社からのオファーを受けており、相当な注目をされていたことはわかる。

ただ、2012年1月には同様に5社からのオファーを受け付けており、ピークが2011年だと断ずることはできない。

上記のデータはいずれも2014年に刊行された「自分メディアはこう作る!」で公開されている内容だ。

2014年の段階でわざわざ書籍上でつまらない嘘をつくわけもないだろうし、このデータに基づいて考えるなら2011年がピークであったとは断言できないだろう。

いずれにしても冒頭の記事で言及されていた「トレンドの数値」「ホットエントリ入りの頻度」だけで人気が上がった落ちたと断ずるのはいささか短絡的だと言わざるを得ない。

 

 

 

批判する上では「なぜ?」をもっと考えるべき

知名度があがれば上がるほど、批判的な内容がでてしまうのはある種しょうがない。

だが、批判するのであればもっと「なぜ?」を考えて言及するべきだろう。

人気が落ちた?→コメント欄を閉鎖したからだ!→批判を受け止められない残念な人

ちきりんの日記に対する今回の騒動では、上記の流れで批判する人が多数見受けられたが、これはあまりにも安直ではないだろうか。

「ちきりんの日記」のエントリーや書籍をちゃんと読んだことがある人であれば、ちきりん氏が様々な要素を分析して発言する人だということがわかるはずだ。

なにより自分のアタマで考えることの大切さを訴えてきた人が「ブログのコメント欄閉鎖」「はてなブックマークコメント非表示」「Twitterでのブロック」をすることによる弊害を考えられないと思うほうが不自然でしょう。

上記の内容を実行したことによる弊害は、ブログに携わったことのある方なら誰でも考えつく内容です。

メリットとデメリットを天秤にかけたうえで、閉鎖することを選択する理由があったのだろうと考えるほうが自然な流れではないでしょうか。

その上で「なぜ?」ちきりん氏はアクセス数や露出の減少が起こるリスクをとってまでコメント蘭の閉鎖を行ったのか。


これを考えるべきでしょう。

今回のちきりん騒動でははてなブックマークコメントで「双方向の考えを享受することが大事」だとする意見があったが、批判するコメントの多くが単方向の考えになっている。

双方向な考えというなら「ちきりん氏」がなぜデメリットを受けてまでコメント欄を閉鎖したのかまで考えて、その意見も合わせたうえで批判しなければフェアではない。

ちきりん氏自身が今回の騒動に言及していないのに、ぼくが言及するのはおせっかいかもしれない。だだ、ちきりん氏のポリシー的に今回の騒動に対して言及する可能性は低いと思っている。

代弁するなんて偉そうなことを言うつもりはないが、今回の騒動は本人が不在のなかで行われていたことだ。

本来の意図がまったく通じていないなかで、やいのやいの言う流れになっていたので、これはフェアではないと感じたので言及した次第です。なにより「ちきりんの日記」の一愛読者としてコメント欄の削除、非表示に及んだ本当の理由を伝えたかったわけです。

ネット上で批判的な意見がでるのは仕方ないことだが、そのためにはもっと材料を揃えて、それらを加味したうえで行うべきではないでしょうか。

ちきりん氏のブログ運営に関する考えは、氏の書籍である「自分メディアはこう作る!」で言及されているので興味のある方は一読することをオススメするよ!

 

 

 

 

そんじゃーね!