介護疲れで殺人が起きる可能性を危惧するケアマネは50%以上
50%以上のケアマネが介護疲れによる殺人事件を危惧する
毎日新聞が今朝発表した介護についての内容に衝撃を受けました。。
長寿の国として美談が語られる日本ですが、今後は老々介護が増えることにより介護問題の話もどんどん増えていくでしょう。
介護疲れによる殺人が起きてもおかしくない--。自分が担当した在宅の介護家族について、ケアマネジャー(ケアマネ)の半数以上はこう懸念した経験を持つことが毎日新聞と介護・ヘルスケア事業会社「インターネットインフィニティー」(東京都)の共同調査で分かった。追い詰められた介護者を助けるには、緊急時や夜間に被介護者を施設に預けられる仕組みが必要だと7割近くが訴えた。
<ケアマネ調査>「在宅介護殺人危惧」55% (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
半数以上が殺人事件が起きる可能性があると感じる現状ってヤバイですよ。
日ごろから要介護者と介護している家族と接しているケアマネがそう感じるということは、家族の表情が暗くなる一方だったり「疲れたしんどい」といった発言をするなど何か兆候があるのでしょう。
介護の状況が好転するのは外部の力がないとムリ
<ケアマネ調査>「在宅介護殺人危惧」55% (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
追い詰められた介護者のために必要なことを見て気付くのが、全て外部の力に頼ることを前提にしていることです。
高齢者の介護状況って好転することがまぁ厳しいのですよ。身内だけの力ではなかなか難しいです。
ぼく自身もリハビリの国家資格を取得するなかで病院で様々な要介護者をみてきました。
介護の必要な方の多くが認知症を患っており、歩行も困難で近くで誰かがみていないと危険な方ばかりなんですよ。
見ていない間に勝手に出歩いて転んでしまい骨折。寝たきりになり更に状態が悪化なんて話はざらにあります。
68%が夜間や緊急時に対応できるサービスを求めているのは夜間に徘徊する高齢者が多いからでしょう。
夜間だと家族が見ていないなかで徘徊して転んで骨折したり、急に容態が悪くなるケースが普通にあります。
夜間や緊急で対応できる病院の数も限られているので夜間・緊急時におけるサービスの充実を求める声が多いのは納得です。
とにかく第三者の助けが必要になるのが介護の世界です。
家族だけでなんとかするってのは厳しいし、それが介護疲れに繋がりますからね。
苦しい時に助けを求められる存在が必要です。
経済的支援の拡大の展望は薄い
経済的支援を求める方も60%以上に上りますが厳しいでしょう。現時点でも日本は諸外国に比べて高齢者への経済的支援は行っています。
世界の高齢者の生活環境を調査している国際団体「ヘルプエイジ・インターナショナル」(本部ロンドン)は9日、高齢者が暮らしやすい国の2015年版ランキングを発表、日本は8位となった。
同団体は96カ国・地域の高齢者の収入や医療などに関するデータを分析。日本は医療に関する項目でトップとなったほか、社会保障や年金、累進課税などの制度が評価された。同団体は「日本は世界の中で最も健康的な国の一つだ」と指摘した。
高齢者生活環境、日本は世界8位 国際比較調査 1位はスイス - 産経ニュース
日本は医療に関する項目では非常に優秀です。国民皆保険がある国ということで一時期海外からも称賛されましたが、万人が医療を受けられるように配慮されている国です。
とりわけ介護の必要な人間に対しては医療を1割負担でOKにするなど費用面では既に国からの支援を行っています。
これ以上の支援が必要となると国民から更にお金を徴収しないといけません。ただでさえ不景気といわれる時代に更に税収を釣り上げ国民からお金を搾り取るのは酷ですよね。
税収だけでなく、将来的に若者と健常な高齢者の自己負担額があがる可能性もあります。いやー。厳しいですねぇ。
厚労省は2016年1月に要介護1,2の生活援助サービスを全額自己負担にする方針を打ち出していますしね。どうなることやら。。
これは新たに経済的支援を行う余裕はないことを暗に示しています。
要介護度は1~5の5段階あります。5に近づくほど介護の割合が高くなり排せつ介助・食事介助が必要な人間が増えます。
厚労省が先月打ち出したのは要介護1・2の人間の掃除や洗濯、買い物、薬の受け取りといった日常生活における援助サービスを全額自己負担してもらい、介護保険の給付から外そうというものでした。
要は「症状の軽い人は我慢してね」ってことです。まぁそれくらい余裕がないってことですね。
かづな先生の保険ゼミ:医療保険の基礎知識|公的医療保険の不安な行く末
図の示す通り高齢者の医療費は増える一方でして、それを充実させるとなるとしわ寄せがどこかに来るわけですね。
介護が必要な人に経済的支援を行うのであれば若者・高齢者問わず介護の必要がないか。あるいは介護の必要性が薄い人から経済的支援を受けるしかありません。
65歳以上の高齢者世帯が平成26年に1219万3千世帯と過去最多を更新し、18歳未満の子供がいる子育て世帯を初めて上回ったことが2日、厚生労働省の「26年国民生活基礎調査」で分かった。1世帯の平均人数も2・49人(前年比0・02人減)と過去最少で、「高齢化」と「核家族化」が一層進んだ。厚労省は「将来の人口推計をみても少子高齢化の流れは進み、今後も高齢世帯や独居世帯の増加は続くだろう」と分析している。
高齢者世帯数、子育て世帯を初めて上回る 厚労省調査 「生活苦しい」世帯も6割超(1/2ページ) - 産経ニュース
高齢者世帯が子育て世帯を上回るなど少子高齢化の流れはとまらないでしょうし、やはり将来的には自己負担額を増やすことになるでしょう。
介護の必要な高齢者を少なくすることが大切
ケアマネへのアンケートでは外部への助けを求める声ばかりでしたね。それもそのはず追い詰められた介護者であれば第三者に助けを求めるのは当然です。
それは仕方ない。仕方ないですが、このまま同じ状態を続けていると「追い詰められた介護者」は増え続けていくばかりです。ひたすらサービスの充実を訴えているだけではダメです。介護の必要な人間が増えるたびにサービスの充実を行っていてはイタチごっこにしかなりません。
いま介護が必要な人たちにはサービスの充実を図る必要があるでしょう。しかし、未来のぼくたちも同じことを繰り返してはいけませんよね。
ぼくたちにできることは「追い詰められた介護者にならない」ことです。未来がどうなっているかわかりませんが予防医学の考えに乗っ取り追い詰められる状況にならないように国民全体が動くべきです。
以前に記事のなかでも触れましたが、これからの日本に必要なのは問題が起きてしまってから対処する医療ではなく、問題が起きる前に対処する予防医学です。
いま元気に働いているぼくたちが次の「追い詰められた介護者」になる可能性は十分にあるのです。
そうならないために若いうちから運動しておくことをオススメします。
突発的な交通事故により寝たきりの状態になったりガンのように遺伝的な要素が絡む問題であれば対処は難しいです。
ですが高齢者が寝たきりになり認知症となってしまい介護が必要になる原因の1番は「転倒」なんです。
運動能力が低下することにより転倒し骨折。そのまま寝たきりになって認知症になり介護が必要となる。
この一連の流れを止めるのであれば若い時からの運動がものをいいます。
結果の前には必ず原因があるものです。日々の不摂生や運動不足が結果的に転倒となってあらわれるのですから、それまでに対処できる身体を作ることを心掛けてください。
若い頃から運動習慣を身につけることによって、高齢期における生活習慣病や後遺障害による要介護状態を予防することができます。また、万が一要介護状態に陥ったとしても、運動習慣がある人・ない人では回復力に大きな差があらわれます。要介護状態は、本人だけではなく働き盛りの家族にも負担が生じますので、お子さんや家族の将来に備え「脳力・回復力」を蓄え要介護状態を予防していきましょう。
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まとめ
・介護疲れにより殺人事件に発展する可能性を危惧するケアマネは50%以上。実際に長年連れ添った家族を殺める事件も増えている。
・在宅殺人を危惧するほど困っている家庭が求めるのは基本的に外部サービスの充実。身内だけではどうにもならないので第三者に助けを求めるしかない。
・医療制度の充実を行うためには若者や介護が必要でない高齢者の負担を増やすしかない。負担額が増えることは将来的に起こると予想される。
・追い詰められた介護者の状態にならないために若いうちから運動習慣を身に着けておく。
・対処療法よりも予防医学の考えを持つ。
・今現在介護が必要な人間へのサービス充実は必要。だが、それと同じく将来介護が必要でない高齢者を増やすことに注力すべき。このままではひたすら同じことを繰り返すことになる。
ぼくの母親、父親もゆくゆくは介護が必要になる可能性もあります。そうならないためにも、日ごろから運動するように注意喚起するようにしています。
別々で暮らしていると電話越しに言うだけでは難しいですが、今回の話は日本国民全員が抱える可能性のある問題です。
長年連れ添った家族との生活が最後は殺人事件で終わってしまう悲しい事件は増えています。
国が介護者を支えるサービスを整えるのを待っているだけでは対応が遅れてしまいますからね。手遅れになる前に今できることをしましょう。
つまるところ僕たちは幸せな生活を目指しているのであって、そのためには健康な体でいた方が良いです。
自分のため、家族のために今のうちから介護が必要にならないで済むように運動していきましょう!
またね!